百日咳菌抗体のPT抗体とFHA抗体の意義について

感染症診断の基本は病原体の分離であり、百日咳菌感染でも分離培養が勧められております。しかしながら成人の場合、発症後3週間での分離率が1~3%と低い課題があります。
従来、百日咳菌感染の血清診断には凝集法が用いられておりました。しかし、乳児から高齢者までの広い年齢層で高い凝集素価を保有しており、これが感染によるものか、過去に使用された全菌体百日せきワクチンの影響であるのかが不明であり、感染診断に適用することに困難さがありました。(現在、試薬の製造中止により受託しておりません。)
百日咳菌抗体[EIA法]では、PT(Pertussis Toxin:百日咳毒素)-IgG抗体、FHA(Filamentous Hemagglutinin:繊維状赤血球凝集素)-IgG抗体を検出します。

FHAとPTのうち、特異度が高いのはPT-IgGであり、PT-IgGは感染後、4.5ヶ月の時点で減少し始め、1年以内に82%は陰性化すると言われております。このため、PT-IgG抗体は単血清で急性感染の指標となると言われております。
FHA-IgGについては、繊維状赤血球凝集素であることから、同種のパラ百日咳菌など菌体にも存在し、交差反応が認められることから感染診断には不向きです。

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〔参考〕
咳嗽がいそうに関するガイドライン第2版
・第11回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会資料(平成22年7月7日),資料3-8,百日せきワクチンに関するファクトシート,国立感染症研究所(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000byfg.pdf(PDF:2.28MB))
・国立感染症研究所 IASR Vol.32 No.8(No.378)August 2011 (http://idsc.nih.go.jp/iasr/32/378/kj3782.html)

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