株式会社保健科学研究所

染色体検査

染色体検査

染色体検査は主に先天性疾患や不妊・流産などの生殖細胞系列を対象とした検査と、腫瘍(主に造血器腫瘍)の診断・予後推移などを対象とした体細胞系列の検査に分かれます。
染色体異常の同定はGバンド法で進められますが、必要に応じて、Q、C、Rバンドや高精度分染法などを用いることがあります。また、Gバンド法では分からない、微細な構造異常の同定にはFISH法やアレイCGH法を用います。これらの方法は、分裂していない細胞でも検査が可能な為、腫瘍関連の解析でも威力を発揮します。
当社では一般的な染色体検査の他に、流産胎児を対象とした検査や、染色体異常の検出が困難な多発性骨髄腫を対象とした検査にも力を注いでおります。

流産胎児染色体検査

自然流産は妊娠の約15%に認められます。そして、自然流産の多くに染色体異常を認めることが知られています。自然流産の染色体検査は、原因検索を目的とする以外に、習慣流産や不育症の原因検索に有用です。当社においては、近年、依頼数が急激に増加した検査項目の一つです。
検査は組織培養の手法を使い実施します。検体の多くは絨毛で、クリーンベンチの中で細かく裁断しフラスコ上にまき、細胞を増やします。細胞の増殖具合を見計らい、染色体標本を作製し検査が行われます。しかし、培養が成功する確率は100%ではなく、当社においては、毎年10%程度が培養の不成功に終わっています。当社では現在、将来の導入に向け、培養なしでも検査が可能となる方法を検討しております。

多発性骨髄腫染色体検査

有痛性骨溶解性病変や、正常造血阻害を引き起こす多発性骨髄腫は、染色体異常が多彩であるにもかかわらず、異常の検出率は低いことが知られています。
骨髄腫の細胞は他の骨髄細胞と比べ、分裂するスピードが緩慢で、間期核として止まっていることが多いです。染色体は細胞分裂の中期に出現する特有な形態なので、骨髄腫細胞のような間期の状態が長い細胞は染色体像は得られ難くく、その為、正常な骨髄細胞を分析してしまうことが多いのです。
その為、当社では多発性骨髄腫の染色体検査を行うにあたっては、骨髄腫細胞の細胞周期に合わせた培養方法の工夫と、FISH法との組合せによって、染色体異常の検出率をあげる努力を進めております。

多発性骨髄腫関連のFISHプローブ

名称 用途
IGH/FGFR3 t(4;14)転座
IGH/c-MYC t(8;14)転座
IGH/CCND1 t(11;14)転座
IGH/MAF t(14;16)転座
D13S319 13染色体欠失
p53 17染色体短腕欠失

検査ご依頼前の注意事項

生殖細胞系列の検査にあたっては、検査実施前に被験者(親権者、代諾者)に対して、
検査の目的、方法、精度、限界、結果の開示方法などについて十分なご説明と共に、
被験者の自由意志による同意(インフォームド・コンセント)が文書によって
得られている確認のご署名を、検査依頼書へお願い致します。

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